有機食品生産の原則とTBT・SPS協定
一般に有機食品生産販売等の戦略を考えている人は、目標をコーデックスガイドラインの本文に照らし合わせてみると「自社(自分)のため」にすべきか、「社会、世の中、他の人のために」すべきか、等悩んでいる事が多く見受けられます。
例えば「年収1千万円にしたい」「株式上場をしたい」など、自分(自社)だけで完結するような目標は数値で測れますし、目標設定としては大変分かりやすいのですが、その目標を達成したとき、個人又は法人として本当に持続的な幸福感や黒字経営が可能なのでしょうか?
自分(自社)の能力を高めるだけの利己的な目標設定は、達成によって確かに一瞬の満足を得ることはできるのですが、そこで終わってしまいます。すると、まるで目標達成中毒にかかったかのように、次々と新しい自分(自社)のための目標を作って、それを「こなす」行動に陥りがちです。
初期の「ISO」取得企業の多くはそのようです。
とはいっても「世界の環境保全のために尽くしたい」「環境破壊型農業の解消に貢献したい」といったような漠然とした利他愛の目標だけを置いても、具体的に何をしていいのか分かりにくくなりますし、日々の行動や戦略にも落としにくいものです。
実際には「利己的な目標(自社の発展や利益向上等)」と「利他的な目標」を上手にバランスよく、組み合わせることを常に意識することが必要なのです。
例えば「私はTOEIC800点以上を目指したい。なぜなら、将来的にアフリカ南部地域の貧困問題の解決と、社会紛争の解決に有機農業の拡大とその食品流通によって貢献したいが、それには英語力が不可欠だからだ」というような目標設定であれば、何のために、どのような能力開発をするのかが明確になります。
WTO体制におけるコーデックスガイドラインの裏にある国連憲章に謳われている「世界の平和」に対する一つの結論は、「自分の言動や生産した製品・サービスによって、なるべく多くの人から、その人の生活の質を上げたり、元気を出したり、気持ちを明るくすることで相手に「感謝と報恩のチャンスを広げることによる平和の実現」なのです。
すなわち、他者からの多くの感謝が幸福感をもたらしたり所得向上につながり平和の基盤を作ることになります。
幅広い他人に継続感謝のチャンスを広るためには、自分がそれなりの能力を有していて、相手が困っていることや望んでいることの手助けができなければなりません。そのためには、どの分野であれば他の人に喜んでもらえるのか、真剣に考えて、自分(自社)の能力開発を繰り返し行うことが必要になってきます。
「自分が幸せにならないような努力を続けてはいけない」とよく言われますが、自分(自社)が努力によって、よりよくなり、その力を持って他人(世界)に貢献できるという好循環がうまく働かないと、努力という行為自体が苦行になってしまいます。
社会はすべて、感謝の循環で成り立っており、それぞれできることを他人のために最大限行うことで、世界は豊かになり、より安定した生活を営むことができ平和が保たれると言われています。
国連機関によるグローバリゼーションのあり方の最大のポイントは、この感謝の仕組みを金銭の流通に置き換えて、うまく利己的な目的を利他的な目的に転換できるようにしたシステムと言えます。
感謝をどうやって作り、相手と互いに上手に表しあえるようになるのか、そのような視点を持つことで、自分(自社)の人生(経営)の戦略の進め方がより明確になると言えます。
そのための方法やルールとしてTBT協定が生まれそれを補完するためにSPS協定ができたとも言えます。