有機登録認定機関もさまざま
ニセ有機食品にご注意を~次々と取り消される有機認定
有機食品で摘発されるニュースをよく見かけるようになりました。違反が多くなったと思うかもしれませんが、これまで野放しだったのが、取り締まられるようになったからと言えます。
違反と一口にいっても、
- 有機食品を生産・製造・小分け・輸入する業者が違反するケース
(違反事例はこちらhttp://axis-organic.com/organic-foods/030/ ) - 生産者などの業者を検査する立場の登録認定機関が違反するケース
(違反事例はこちらhttp://axis-organic.com/organic-foods/fake-case2/ )、 - 小売店(自然食品店・スーパーなど)・商社などが違反、その他、有機認定事業者以外の違反が違反するケース
(違反事例はこちらhttp://axis-organic.com/organic-foods/fake-case/ )
があります。
どのような違反であっても、消費者が、本来「有機食品」でないものを「有機食品」であると思って購入してしまう可能性があり、大きな問題です。
しかし、有機認定制度を考える上で、一番、大きな問題は、生産者などの業者を検査する立場の「登録認定機関」が違反をするケースです。検査機関に問題があれば、まともな有機食品が流通されるはずがありません。
これまで農水省に業務停止や改善命令を命じられたことがある認定機関
- 有機農業認証協会(大阪)
- 日本生態系農業協会(東京都中央区)
- おおいた有機農業研究会(大分)
- 民間稲作研究所認証センター(栃木県)
- 北海道有機認証協会(北海道)
- 長崎有機農業研究会(長崎)
- アイシーエス日本(横浜)
- 有機食品認証普及協会(佐賀・認定業務を廃止)
- オーガニツク認証協会(熊本)
- 日本オーガニック農産物協会=NOAPA(東京都千代田区・認定業務を廃止)
などがあります。
このような違反を起こしたことのある登録認定機関に対し、信頼に値する認定機関は、一度も農林水産省から、業務停止や改善命令を含め、「不適合」事項を指摘されたことのない登録認定機関と言えるでしょう。
でも、実際は、平成21年6月現在・農林水産省によると64機関中不適合が検出されな かったのは数機関(1けた)のみだったとのことです。
消費者はどうすればいいの?
有機食品を選ぶときは、「有機認定マーク」だけでなく、その下に書かれた「登録認定機関」にも注目するようにしましょう。新聞報道などで、違反をおかした登録認定機関が認定した有機食品は、ニセ有機の可能性もあるのです。
有機食品の市場が日本よりも成熟しているヨーロッパや北米では、有機食品を選ぶ際に、「どの認定(認証)機関が認定(認証)したものか」という基準で選んでいる消費者がたくさんいます。
日本の有機市場は残念ながらまだ小さく、たとえば、有機ジャムを買おうとしても、1つのお店に1種類しかない、(あるいは一つもない)というのが現状です。でも、有機ジャムが何種類もあって迷ったら、信頼できる認定機関から認定されたものを選ぶということが可能になるのです。 有機食品がもっと広まるよう、質の良い有機食品を購買するようにしましょう。
有機の認定事業者は、どう認定機関を選んだらいいの?
有機食品を生産・製造・小分け・輸入する業者はこのような信頼できる認定機関から認定を受けることが大切です。
日本には現在、64の認定機関があります。どの認定機関も、同じ「JAS法」に基づいて書類審査・現地調査を行っていますが、認定機関によってJAS法の解釈にばらつきがあります。そのため、「ゆるい基準や検査能力不足している検査員・判定員等」で認定してしまっている登録認定機関があるのです。
また、基準を十分に理解していなかったり、十分な審査・調査・判定などができるスタッフをそろえていなかったりする認定機関もあります。
このような認定機関に認定されていては、消費者は有機認定マークを信頼することができません。
また、「料金が安いところ」や「認定が取りやすいという噂」などだけで選ぶと、後でその認定機関が「業務停止」や「改善命令」を受けた場合、損害を受けたり、消費者からの信用を失うなど「有機」の信頼が揺らいでしまいます。
2006年3月1日に、JAS法が改正されました。3年間の経過措置期間が設けられているものの、認定機関も認定業者も、新法への対応に四苦八苦していました。改正を機に辞めるところもありました。
改正のポイントは、民営化。これまでは、登録認定機関は、農林水産大臣の代行として認定を行っていました。改正後は、民間の第三者機関として認定を行っています。
その第三者機関の登録を判断する基準として、国際標準化機構などが定める「lSO/IECガイド65」が使われています。有機認定機関の役員・スタッフの中には、「lSOつて何?」という段階(無知)の機関もあり、そういうところは信用できません。
改正された新法では、認定機関が不正などをおかして登録を取り消されたら、その機関から認定を受けた生産者・事業者も自動的に認定が失効します。有機認定を受ける人は、これまで以上に「どこから認定を受けるか」を考える必要があります。信頼性の高いところを選ばなければ、せっかくの認定が無駄になってしまいます。今後は新法への対応ができているか、違反や業務停止を受けていないか、違反業者を多く認定していないか(又、選ぶ目安として、農水省のHPで公開されている登録認定機関の「標準化マニュアル」に準拠した業務を行っているか)など、直接、認定機関に尋ねたり、評判を聞いたりして選ぶのがよいでしょう。
http://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/yuuki.html
http://www.maff.go.jp/j/jas/kaigi/pdf/yuuki_kenntou_z.pdf
http://www.maff.go.jp/j/jas/kaigi/yuki_kento5.html
資料4登録認定機関の業務運営の標準を作るために(PDF:278KB)
有機登録認定機関もさまざま
一口に有機登録認定機関といっても、認定できる範囲と能力はさまざまです。自動車の運転免許証に例えるとよくわかります。
同じ運転免許証といっても、国際免許証なら海外でも運転できます。原動機付自転車免許のみ運転できる免許の人もいれば、普通自動二輪車免許、普通自動車免許、大型免許の人もいます。
有機登録認定機関と一口に言っても、
認定を行うもの(農林物資)
- •有機農産物
- 有機加工食品
- 有機飼料
- 有機畜産物
認定を行う区域
- 国内の特定区域のみ
- 国内全域
- 海外(国内全域含)
さらに、今後は
認定の種類 も 登録認定機関によって異なります。
- 国際的には「不適合」なレベルの認定業務を行っている有機JAS登録認定 機関
- アメリカ NOP(National Organic Program) 認証能力のあることが農水省 より認定された有機JAS登録認定機関
- ヨーロッパ(EU) と同等レベルの認定能力があると農水省より認められた有 機JAS登録認定機関
2010年2月現在は、まだ、どの有機JAS登録認定機関も有機JAS法に基づく認定し かできませんが、欧米向けの認定もできるように準備している登録認定機関がたくさ んあります。 各登録認定機関がどのような認定ができるのかは、 http://www.maff. go.jp/j/jas/jas_kikaku/yuuki_kikan.html で確認できます。
今後、アメリカやヨーロッパの認定もできる登録認定機関は、国際的に通用する「検 査・判定」能力や知識を備えている登録認定機関であると言えるでしょう。
範囲
ピン 世界全域で「有機認定」できる機関
~8段階以上の格差がある(認定実績が無い機関含)
キリ 国内一部地域限定で「認定範囲」も狭く「標準化マニュアル」も満たしていない機関